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銀細工職人"かざりや鐐"店主川尻優子氏にお話を聞きました。
かざりや鐐は寛政年代(江戸時代中期)から歴史のある、錺匠竹影堂を母体とする銀細工のアンテナショップです。
基本理念は気負いなく普段に使えるもの。でもだからこそ自分に誇りの持てる、ちょっといいモノをご提供できればと活動しております。
そんなかざりや鐐の一人として活動するようになり、ちょうど5年になりますが、「仕事をしている」と言うと恥ずかしながら、未だ違和感があります。
勿論、私なりにプライドを持ってしている「仕事」なのですが、お客様に対して自分の考えたデザインやアイデアや品物に。
それを「仕事」と言うのはちょっと違うのです。鐐に来て、特別注文をしてくれるお客さんは何も"あつらえ"や"別注"という言葉に酔って注文してくれるわけではありません。
「こういう、こういう人で、こういう想いを伝えたくて・・・・・・」と言った方が多くて、話を聞いているうちに、「へぇ~、では、こういうのは素敵ではないですか?」と楽しくなってきて、2人で作り上げた『世界中の何よりも誇りの持てるプレゼント』になっていくのです。
そういうものを作るのに、「仕事だからね」と大人ぶって人に言えるものではありません。
前述のような日々なので、「仕事」をしていて一番うれしい時、いわゆるやりがいを感じる時というのは、「自分の想いがカタチにあらわれた時」と、「お客様と他人でなくなった時」です。
両方とも一方的な感覚かもしれませんが、前者は新商品を企画していて、その企画の発想や想いがうまく商品にのっている!というモノができあがった時。
それはもう「私ってイケてる」なんて思ってしまう。それが自己満足だろうが、勘違いだろうが、独りよがりだろうが関係なし。そういう時はもう、誰が何と言おうと「私ってイケてる」のです。
後者の方は、特別注文としてオリジナルを作って、お互い満足がいってる!という度数がMAXの時です。勿論いつでもお互い満足できるまでしますが、その中でももう本当にMAXの時。
そんな時はお客様と自分はただのお客様と店員ではなくなっています。親友?同志?そんな気持ちになります。
なるほど、では今後の展望をお聞かせください。
常に目指していることといえば、それは先駆者であることです。
かざりや鐐のある京都が、今もたくさんの人が訪れ、憧れ、美しいのは、昔の達人の偉業に寄りかかっているのではないからです。
古いものに誇りを持ち、新しい取り組みにしり込みしない。今までに見なかった銀の使い方、銀の商品。デザインばかりでなく、アイテムからの発想を心がけています。
そして、何か良い商品が生まれても生まれたらそれは過去のこと。次はまたその時とは違う気持で、新しいやり方で、企画・デザイン・製作をして、まだ知らない達成感を味わいたいです。
そしてそれが、何度もお店に足を運んでいただける、店作り、商品展開だと思っています。
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