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はじめに田川さんが和ろうそくをお作りになられた経緯を教えてください。
私が和ろうそくと出会ったのは約27年前。私の妻の父が3代目中村ローソク店主で、昭和63年先代が(妻の父)が病気で倒れた為お手伝いをすることになったのがきっかけです。
何の知識も無いまま入店したので、見るまま、言われるまま一生懸命にろうそくを造っていました。
見ていると簡単に見えて、いざ造ると折れていたり、形が悪かったりとなかなか上手くできないもので、思えば簡単にできなかったからこそ、今なおろうそくを造っているのだと思います。
ではそんな和ろうそくの魅力とは。
中村ローソクの和ろうそくは、櫨(はぜ)の実を採取してくださるちぎり子さん、その実を粉にして蒸して搾って生蝋をつくる製蝋所、藺草の髄を取り出して和紙のまわりに巻き芯をつくる方、桜の木で作る木型屋さん、竹串を作る竹屋さん、そのすべてを使い和ろうそくを造らせていただいております。
和ろうそくとは、和紙に藺草の髄を巻きつけた芯に木蝋を手で塗り仕上げた物を言います。今は九州地方への台風やあの雲仙の噴火以降櫨の蝋が激減した為、米ぬか蝋やパーム蝋で造った物が一般的な和ろうそくと呼ばれております。
ただ、本来和ろうそくとは植物蝋100%のものをいい、近年安価な牛蝋や魚蝋を使用し、芯も紙や糸でできたろうそくが和ろうそくとして販売され、それを一般の方々が和ろうそくとして使用されているのには心が痛みます。
和ろうそくは、1本1本造る為に沢山造ることはできませんが、心を込めて造っております。和ろうそくは、植物蝋でできているので、地球環境にとてもやさしく、最近では環境に厳しい外国の方々に良く購入していただいております。
しかしながら、本物の和ろうそくは一般には殆ど認知されてないため、使用される方も減少しております。ただ一度造ることを止めることにより、芯を作る方、蝋を搾る方、いろいろな方の何方かが廃業してしまわれると和ろうそくは造ることはできなくなってしまいます。
なるほど、一本の和ろうそくにいろいろな方が携わっておられるんですね。そんな田川さんの今後の展望を教えてください。
和ろうそくは、本来消耗品ですので良いろうそくを安価にて提供することが必要です。和ろうそくは、仏事だけでなく、地球環境の為や癒しにもなります。
今流行りのキャンドルナイトにも是非、石油を使用したローソクでは無く植物蝋でできたろうそくを使用していただきたいです。
絵ろうそくや香りの付いたろうそくなど若い方にも興味を持っていただけるよう努力をして本物の和ろうそくをより多くの人に知っていただくことができればと思っております。 |
明治20年(1887年)創業。昔ながらの植物蝋100%和ろうそくの伝統を守るかたわら、京友禅絵付師の絵付けによる絵ろうそくや、香り付きの和ろうそくを作るなど新たな挑戦を続けている。インタビューページへ |
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